「りんご農家の秘密基地」としてスタートしたようで、ほぼほぼ全く動いていないに等しい「RINGO BASE」。コンセプトは大好きだし、「ナンニモシナイ」というサービスも大好き。でもHPだけ作ってほったらかし。ちょっともったいない感じもしています。
先日、青森で事業を行う仲間が、友達をりんご畑に連れてきてくれました。りんご畑を案内し、「葉取り」という作業をし、木陰でお昼ご飯を食べました。周りのりんご農家さんはたいてい家が近くにあるため、お昼の時間はとても静かになります。私は、スピードスプレーヤーやチェーンソー、爆音のラジオの音が聞こえるりんご畑も大好きですが、静かなりんご畑も好きです。
私がりんごの説明をすると、「へぇ〜なるほどね〜。」と耳を傾けてくださいました。お話が苦手なので、リアクションをいただけるのは大変ありがたかったです。
「おばけ」の説明から始めてみました。りんご畑で活躍する、上半分をカットした軽トラのことを言います。いったいどうして「おばけ」と呼ばれているのか、明確な理由を知っている人に会ったことがありません。だいたいみなさんが仰るのは、「廃車になるはずだった軽トラをぶった斬って走っているさまがおばけっぽい」のだとか。その説明だと、どちらかというと「ゾンビ」だよなぁと思ったりしています。
そしてこの畑の鉄板ネタ、「赤の他人の90歳を超えるおじいちゃんから引き継いだ」という話もしました。おじいちゃんが書いてくれた「りんごの木への直書きの品種名」を見せると、大体の人は笑ってくれるので、味を占めて使いまわしています。私も今でも、木に直に油性ペンで書かれた「シナノ」の文字を見るたびに、なぜか笑ってしまいます。
お昼ご飯では、周りが静かだったことに加え、メンバーの皆さんが穏やかな方々だったので、肩の力の抜けたリラックスした時間が流れていました。私は一人だとわちゃわちゃしてしまうので、ありがたかったです。どうわちゃわちゃするかというと、その日一番やらなくてはいけないものや忘れてはいけない用事をすっぽかしてしまうような、そんなわちゃわちゃです。
ほどよい余白があるような、そんな空気をまとっている人を見ると、羨ましく感じます。今回のメンバーは、私としては「こんな大人になりてぇ」と思う素敵な方々でした。もしかしたら、そういう思いが、こういうサービスを生んだのかもしれません。
今回、ご飯を食べつつ「ナンニモシナイ」時間を過ごしたわけでありますが、結局上記のようなことを考えてしまっていました。私にとって、今回の「ナンニモシナイ」では、「あ、自分てこういうことを考えてしまうんだな」という自分自身について気づきがあったように思えます。「ナンニモシナイ」ことで何かが見つかるかもしれないし、ナンニモ見つからないかもしれません。どちらも同じくらい大事だと言いたいです。終わった時にどちらが自分に残るのかは、やってみるまでわからないなぁと思いました。
Writer:永井温子(株式会社Ridun代表取締役)