結論、イコールではないと思っています。
はい、おしまい。
…おしまい…?そんなわけにはいきません。なぜイコールではないと考えるのか、書いていきたいと思います。
「収穫体験」は、とてもポピュラーなりんご畑での体験のひとつです。真っ赤に、もしくは黄色く色づいたりんごを枝からもいで、その場でかぶりつく。普段はスーパーなどで購入するりんごを、自分の手で収穫して食べるというのは、とても楽しい瞬間です。
でも、「収穫」だけではりんご畑での「農作業」における、ほんの5%も体験できていないのではないかと思うのです。
ざっと思い当たる作業内容を、まずは書き出してみたいと思います。
剪定、受粉、施肥、摘花、摘果、草刈り、薬剤散布、葉取り、ツル回し、反射シート敷き、収穫、出荷などなど。
細かく言えばもっと色々とあるのですが、このくらいにしておきたいと思います。これらの作業は、大きく4つくらいのジャンルに分けられます。重なるところもありますが、以下のように分けてみました。
一番ポピュラーな「収穫体験」というのは、上記の4つに分けたうちの「売るための作業」のほんの一部でしかありません。
私は、ぜひ「”美味しいりんご”を作るための作業」をたくさんの人に体験してもらいたいと考えています。その中でも、「摘花」「摘果」は、危険性も少なく、体験しやすい作業のひとつです。
「取ってはダメな実を取ってしまいそうだから、摘果の手伝いは遠慮します。」そんなふうに地元の方はおっしゃるのですが、だからこそ体験のしがいがあると考えます。
実がたくさんついて折れそうになっている枝が、摘果をすることでスッキリし、風通しが良くなります。その様子は、数ヶ月美容室へ行けなくてボサボサになった髪を、やっと切った時のよう。爽快感、達成感が半端ないのです。
「摘果」のスッキリ感を味わうには、5月から7月の時期のりんご畑が最適です。
他のことを忘れて摘果に没頭する。その時間を経ることで、秋に収穫するときに「ああ、随分大きくなったねぇ。頑張ったねぇ。」とりんごに話しかけてしまうはずです。きっと、収穫の体験もよりいっそう特別なものになるのではないかと思います。
Writer:永井温子(株式会社Ridun代表取締役)