「開心形」は、うれしい形

うちの会社が所有する畑に植わっているりんごたち。みんな「丸葉台」という台木でできたりんごです。そのため、りんごの剪定の仕方は全て「開心形」(かいしんけい)です。詳しい栽培に関してのお話は省略しますが、この「開心形」の木は、少しずつなくなってきています。

「高密植栽培」などに取って代わりつつあり、技術力を要し、継承が大変な栽培方法は見直されていっているのが事実です。

とはいえ、冒頭のとおり、うちの畑にはそんな継承が大変な木しかありません。
すぐに全て伐採し、高密植栽培に切り替えるということは現実的ではありませんので、ひとまず現状あるものでやっていくしかないのです。
2シーズン目になりますが、初心者なりに管理をしてきています。

初心者なりに、やっています

こう書いていると、「開心形」の木は、効率が悪く、時代から取り残された必要のない存在のようにも見えてきますが、実際に栽培していると悪いことばかりではないなぁと感じるので、悪いこと以外のこともご紹介したいと思います。

①木陰が気持ち良い
夏の暑い時期、木陰で摘果の作業をしたり、休憩したり、お昼寝をしたりするのは大変気持ちがよいものです。これは、大変大きなメリットとなり得るのではないかと感じています。体力の消耗を軽減してくれる木陰、とてもありがたい存在です。

②青森っぽい
たくさんの開心形の木がりんご畑にある風景というのは、他の地域、国では見られないものです。開心形は、青森のりんご畑がもつアイデンティティのひとつかもしれません。

③剪定の考え方を体得できる
とあるスタッフが、「最近文章を書くときに、剪定の考え方を応用していることに気がついた。」と言いました。全体を見て、必要な要素を見極め、その要素に対して必要なものや、いらないものを判断し、付け加えたり、削除したりするのだそうです。剪定は、木に対するものだけの技術ではないかもしれません。

他にも、「木に登れる」、「鳥の巣が作りやすいかも」、「ハンモックを吊るせる」などの良いところが見つかりました。「栽培」「効率」「技術」などとは、少し異なるベクトルからりんご畑を見るのも楽しいものだなと感じます。

木の下で演奏だってしちゃう

最後に、「開心」という熟語は、基本的には日本語にはないようです。元々は中国語で、「嬉しい」とか「楽しい」という意味なのだとか。
開心形の木がたくさんあるりんご畑。嬉しく、楽しい存在なのかもしれません。

Writer:永井温子(株式会社Ridun代表取締役)

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