雨の茶会

ゴールデンウィークも終盤を迎えた5月6日。この時期には珍しく続いていた暑さを静めるように、この日はまとまった雨が降っていました。りんごの花を見ながら抹茶をすすりたかったなぁ。ちょっと残念な気持ちもありましたが、「茶屋いっぷく」の雨天時の会場である石川公民館に行くと、主催の「酒池肉林檎サークル」のみなさんが明るく出迎えてくれました。

会場に入ると、あいにくの天気でうっすら曇っていた気持ちが少しずつ晴れていきました。ハンモックがありテントがあり、木箱の小さな本棚があって、色とりどりの紙の小さな花が散りばめられたテーブルがあって。少しでもりんご畑にいるような気持ちを味わってほしいという心遣い漂う、ほっとする空間でした。

朝から雨が降り続き体も少しだけ冷えていたので、さっそく温かい飲み物をいただくことにしました。メニュー表を見て、抹茶とコーヒーを注文。

抹茶は自分で点てる「野点」スタイル。茶の作法はなにもわかりませんが、わからないなりに茶せんを使って点てていると、不思議と気持ちが落ち着いてきます。

そして自分で点てた抹茶はなんとなくおいしいという。普段の飲み物として抹茶も悪くないなぁと思いました。

コーヒーは「メメント・モリ」という自家焙煎したオリジナルブレンド。香りがよく、飲み口もすっきりとしているのに、ほのかに感じられる味の奥行きが絶妙で、何杯でも飲めてしまうおいしいコーヒーでした。

どちらも石川地区にある「御茶水」から汲んできた湧き水を使っているとのこと。そう言われてみれば、きめの細かいなめらかな口当たりでした。

お茶菓子もいただきました。石川地区にあるお菓子処むらかみさんの「津軽とうふ」と石川地区を拠点に活動されている津軽あかつきの会さんの「雲平(うんぺい)」。

「津軽とうふ」はカステラに似た食感もありつつ、間に挟まれたしっとりしたあんこのニュアンスもあり、口に優しいお茶菓子でした。

「雲平(うんぺい)」は、一口かじると練り込まれた紫蘇(しそ)の風味がほんのり口いっぱいに広がり、さっぱりとするお茶菓子でした。

抹茶とコーヒー、お茶菓子をおいしくいただき、一息ついたところで、真っ白い紙と筆ペンを渡されました。はいはい、なるほど、なるほど。「ここでいっぷ句」ということで、5・7・5のリズムで何か書いてください、とな。季語とかよくわかりませんが、やってやろうじゃありませんか。

家で飼ってる猫のことを詠みました。ほかの人たちが詠んだ句も見ながら、5・7・5のリズムってなんか敷居が高いイメージがあったけど、やってみるとおもしろいなぁと思いました。その人が見ている聞いている感じている景色や出来事が、短い言葉の連なりに凝縮されている。それをみんなでああでもないこうでもないと楽しむことができる。

それってとてもいいことだなぁと思ったわけです。

自然発生的句会

その後は、ハンモックに揺られながら本を読んだり、目をつむって雨垂れの音に耳を澄ませてみたり、普段でもできそうでなかなかできない贅沢な時間の使い方をさせてもらいました。

ゴールデンウィークについて個人的に振り返ってみると、長いお休みがないと会えない遠方の友人と会って騒いだり、それはそれで楽しかったのですが、どっと押し寄せてきた非日常のオンパレードに疲れていたところもありました。

なので今回、「茶屋いっぷく」で過ごさせてもらった時間は、自分の日常のリズムを思い出させてくれる、日常と非日常の境目を漂うような、心休まる時間でした。

今回は屋内での開催でしたが、しとしとと降りつのる雨とあいまって、春の訪れに浮かれていた自分をちょうどよくクールダウンできたような気がします。

また機会があれば、今度はりんご畑での「茶屋いっぷく」にもお邪魔したいと思います。

Writer:RINGO BASE スタッフ あつし

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