「摘果」をしながら考えていること

困るのは、昔にあった忘れたい記憶ばかりが思い出されること。りんご畑の真ん中で、低い声で「あぁ〜。なんであんなことを…。」とうなだれる。

りんご畑で起こる、一番嫌なことの1つかもしれません。

お弁当のことしか考えられなくなることも

ただ、そんなしんどいことばかりではありません。友人たちが摘果のアルバイトに来てくれることがあるのですが、「もやもや考えていたことがなくなった。」と、何かが解決し、スッキリした顔で帰ってゆくのです。

「創造性が上がっている気がする。」と、そんなことを言われることもありました。

その現象は私の身にも起こるので、大変共感できます。数日、長ければ数ヶ月くらいダラダラ考えていたことについて、急にシンプルに感じられ、なぜか楽しげな解が浮かんでくるのです。

「あれば◯◯さんにお願いしよう。これは私がやる。そうすればこの面白そうなアイディアを実現できるのでは?」

そんな楽しい妄想がどんどん膨らんでいき、摘果をする手も早くなる。そういう時もあったりするのです。

「摘花」をしているとハシゴの上から畑全体を見渡せます

理由はよくわかりませんが、摘果に集中するのが良いのかもしれませんし、外での作業でリラックスできるのが良いのかもしれません。

いずれにせよ、このある種の快感が楽しみで摘果を続けているようなところもあります。

かといって、「何か良いことが思い浮かぶかも。」という期待感を持って作業すると、特に何も思い浮かばなかったりもします笑 コントロールはできないのです。そういう時は、ラジオを流したりもします。そうしてまた摘果に集中するのです。

小さいりんごの実

みんながみんな、摘果をして同じような結果に落ち着くわけではないでしょう。ただ、どうなるかはやってみないとわかりません。

気軽に行けるりんご畑もゼロではないので、気になる方はぜひりんご畑に足を運んでみてください。そして可能だったら、「摘果」に没頭してみてください。

Writer:永井温子(株式会社Ridun代表取締役)

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