【Introduction】
「ナンニモシナイ」をめぐり、色々な人たちのもとを訪れて話を伺う、『失われたナンニモシナイを求めて。』というこの企画。2回目は、青森県弘前市石川にある「津軽あかつきの会」を訪れ、会長の工藤良子さんのお話を伺いました。
【目次】
まえがき(2023/8/14)
第1話(2023/8/15)
第2話(2023/8/16)
第3話(2023/8/17)
第4話(2023/8/18)
第5話(2023/8/19)
第6話(2023/8/20)
第7話(2023/8/21)
第8話(2023/8/22)
第9話(2023/8/23)
第10話(2023/8/24)
第11話(2023/8/25)
第12話(2023/8/26)
第13話(2023/8/27)
第14話(2023/8/28)
第15話(2023/8/29)
第16話(2023/8/30)
第17話(2023/8/31)
第18話(2023/9/1)
第19話(2023/9/2)
第20話(2023/9/3)
第21話(2023/9/4)
あとがき(2023/9/5)
2023年5月4日
【登場人物】
〈たずねた人たち〉
アツシ(高橋厚史)
シャッチョ(永井温子)
〈こたえてくれた人〉
リョウコさん
(津軽あかつきの会 工藤良子さん)
アツシ
録らせてもらった音源は何回も聞くんですよね。やっぱり、あの、うん。自分にない言葉の選び方を、自分じゃない人はするので、 それ、聞いてるだけで、面白くて。
リョウコさん
あぁ、うんうん。
アツシ
だから、うん、良子さんには良子さんの、呼吸というか、リズム、言葉のリズムがあって。選び方とか、その、 口癖みたいなところとかもあって。
それ、聞いてると、 やっぱりその、自分にないものなので、それが、こう、耳を通して入ってくる感覚が、うん、なんか、嬉しいんすよ。
だから、こう、人のお話聞いたりとかも、好きで。
リョウコさん
うん。
アツシ
あんまり、 自分のことも喋る時はありますけど、まぁ、人の話聞くのが得意というよりかは、自分、しゃべるのが苦手なので。 じっと黙って聞いてたんですよね、その、ちっちゃい頃から、あんまり表には出ずに、すみっこでこう、 人の話に、耳を澄まして聞いてるような、子供だったり、大人でした(笑)
シャッチョ
あんまり中心にいるタイプではなかったのかな。
アツシ
うん、そうだね、中心…。
まぁでもその、 大学来て、弘前に来てから、一人暮らしするようになって。 そうすると、うん、なんですかね、気持ちが開放的になるのかわからないですけど、あの、大学のサークル活動とかで、なんか、 まぁ、中心のメンバーになってみたりとかもあったり。
シャッチョ
リーダーだった時期があるよね。
アツシ
まぁまぁまぁそれは(笑)
一同
(笑)
リョウコさん
なんのサークルだったの?
アツシ
あのアカペラって、声だけであの、コーラスつけて。
リョウコさん
あぁ歌の。
アツシ
そうです、歌のサークルに入ってました。歌。
こんな小っちゃい声してますけど、歌う時は声出ます(笑)
リョウコさん
共通の趣味みたいなのもあるんだな。
シャッチョ
うんそうですね。そういう意味では、音楽は一個ありますね。
アツシ
一緒に音楽聴いたり、とかしますし、カラオケ歌ったりとか。
シャッチョ
いいスピーカーのある飲み屋さんに一緒に行ったりとか、そういうのもやります。
リョウコさん
こう、思いっきり声出せば、自分がいっぱい解放されるでしょ?
アツシ
うん、そういう気持ちになりますね。
リョウコさん
んだよの。いいよの。
アツシ
あれもやっぱりその、歌詞とかも、やっぱ歌ってると、どういう言葉を選ぶんだろうとかって気になって。あ、こういう言葉の選び方をするんだって、すごい面白いなぁと思って。声出しつつ、こう、頭では日本語のこと考えてたりとかして。
最近行ってないね。
シャッチョ
そう、なかなかね…。
リョウコさん
一緒にカラオケやるの?
シャッチョ
一緒にやります。
リョウコさん
あぁ、いいの。
シャッチョ
別々の時もありますけど、ただ、歌いたいから違う部屋に行って(笑)
アツシ
ね(笑)
リョウコさん
でも、 すみっこにいて黙ってる。
アツシ
はい。
リョウコさん
ほんとの若い時ってそうだったかも分かんないけど存在感があるよの。
黙っていても、こう、うん、 なんていうのか。やっぱりそんなに口も言わないし、そんなにこうぱっぱって前に出なくても、こう、そこにいるだけで存在感があったと思う。
アツシ
あー、そうなんですね、そっか…。
それは初めて言われました(笑)
シャッチョ
(笑)
アツシ
あぁでも考えたことなかったです。
リョウコさん
それがこう、今だんだん出てきて、歌とかそういうのにこう、いってね。
アツシ
でも、良子さんもそういう、静かにたたずんでいる存在感がありますよね。
リョウコさん
うーん、そうだかもわかんないけども。 引っこんでる方だよね。
アツシ
あー。
リョウコさん
うちの人たちみんなガーッとしゃべるから、しゃべって行けないっていうのか。
一同
(笑)
リョウコさん
ちょっとの、しゃべりたい人しゃべればいいって、黙ってるっていう。
アツシ
そうですね、僕もそうです。しゃべりたい人しゃべればいいと思います。
シャッチョ
みんなでまかない食べてる時とか、何人かの方が一番メインで話してる中で、たまに良子さんが、すっとキラーパス、 出したりとか(笑)
リョウコさん
ふふふ。
シャッチョ
すっとすごい面白いこと言ったりとかするのが、すごい楽しいなぁって思います。
リョウコさん
まあ、みんながあの、それこそここにいてそして仕事するっていうのは、楽しくても必ず苦しいこともあるはんで、あの、ああいう場で、こう、解放すればいいと思ってるはんで、しゃべりてぇことしゃべって賑やかなんだけども。
シャッチョ
解放…。
アツシ
うん。
シャッチョ
解放する瞬間って。
リョウコさん
うん。
シャッチョ
会社とかで、積極的に作ってるところあるのかなっていうのを、ちょっと、気になったりしました。
リョウコさん
解放っていうのか、こう、自分を思いっきり主張して出せるっていうのか。
シャッチョ
うんうんうん。
リョウコさん
だから、 絶えずこう、しゃべってる人がどうしても多くはしゃべるけども、みんながこう、しゃべるようにして、なんもその私までここでしゃべんなくてもいいっていう。感じでの、いるんだけども。
シャッチョ
うーん…。なるほどなぁ。
リョウコさん
楽しそうだよな、うちのおしゃべり会は。
シャッチョ
すっごい楽しいですよね。楽しいし楽しそうに見える。
リョウコさん
そうしてほしい。ただただ真面目な顔して一日いっぱいだともう、ストレス溜まるし、長続きしないと思うはんで。 働く時は真面目に一生懸命やって、たまにはこうぶつかって。
シャッチョ
はい。
リョウコさん
そう、 料理とか特に「そんでねぇべさ」とかってやりあったりもするし。それでこう、解放するときは、わっとこう一気に解放すれば、やっぱり。会のためには、いいなと思うの。
アツシ
ぶつかることも必要なんですね。
たぶん僕たちの世代は、ぶつかることを避けよう、とするので。
リョウコさん
私はあの、トラブルのない会は成長しないと思ってるから、うーんとぶつかってほしいと思う。
そこでぶつかってお互いに言いたいことを言い合って、それをちょっと越えればやっぱりちょっと、みんなが成長するっていうんだか。
あの表面、自分を抑えて「うんうんうん」ってお互いになあなあでやってれば、そこで収まってしまえばな。
シャッチョ
うーん。
リョウコさん
成長しないと思うんはんで。そういう人って不満を、出さないままだから、陰に行って、いろんなことしゃべったり、 内にこもってしまうから。だから、それはしてほしくないから、昔から「しゃべりてぇことしゃべれ」って、してるんだけども。
アツシ
うーん…。
なんか、僕もそうですね、内にためてた、タイプで。その、なんだろう、 なんだったかな、あんまりにもしゃべらないから、知り合いの人に「自分のこと誰かに話す必要がないって思ってるんじゃない?」って言われたんですよ。
リョウコさん
うん。
アツシ
「話すことに、話すことを、意味がないと思ってるんじゃない?」って言われたことがあって。うまく言葉にできないだけ、だったんだなって今思うんですけど。
リョウコさん
言葉だけでなくても、それこそこう歌うとか、絵描くとか文章書くとか何の形でも自分を出すのに関しては、 言葉だけでこう言わなくても、みんな表現できると思うんだよね。
アツシ
そうですよね。それに最近、気がついて。
リョウコさん
あぁ、うんうん。
アツシ
自分でもなんか、物語を、書いてみたりするんですよ。そんで、温子さんとこうしゃべって、「今こういうこと考えてるんだよね」とか、しゃべって。それに返してもらえるし。「なんでそんなこと言ってんの?」みたいなことを言わないので、すごいありがたい。
シャッチョ
言わないね(笑)
アツシ
うん(笑)
一同
(笑)
リョウコさん
ある意味でちょっと違う、 お互いに違う部分もあるんだけどもね。それがうまーく調和すればもう最高だよね。同じ人同士で一緒にいても、つ、つまらないっていうことはないけども、飽きてくる、私だば飽きてるくるの(笑)
いろんな人があっていろんなことしてぶつかり合ったり、そうしてればやっぱり楽しいし。
アツシ
うんうん。なんか、そっか…。
リョウコさん
なんで、あぁ、お互いにいい人選んだなと思って。
アツシ
助かってます、いやぁほんとに…。
シャッチョ
(笑)
***